額面通り

今日はなんでも 正直に

海を見に行った午後

海が見たくて午後休を取った日、はじめて降りた小樽築港駅でいい感じの歩道橋を見つける。

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歩道橋の先には海、どでかい空、f:id:yellowcnr:20240312151014j:image

青の上に浮かんでるみたいな雪山。

こんなにきれいな景色が見られるのに、わたし以外誰もいない。小樽行きのJRの中は観光客でいっぱいだったのに。とはいえ自分も長く住んでいながら築港駅で降りたのははじめてだったのだから、誰のことも言えないけど。築港駅前はあきらかに失敗してしまった古いショッピングモールが駅と海の間にデーンと横たわっているせいで、こんなにいい景色が見られるなんてわからないんだよな、もったいない。この日はとにかく天気も良くて最高だった。しばらくじっと空と海と山並みを眺めていた。

「すみません写真撮ってもらえますか」

ひとりだと思っていたら、わたしの他にもうひとり電車を降りていたらしい。振り返ると30代くらいのすらっとした女性が立っている。いいですよ、とiPhoneを受け取ると、自分は下に降りて、雪の中を歩くから、その動画を取って欲しいという。日本語が上手だったので最初は気がつかなかったけど、海外から来たらしい。「どこから来たんですか?」と尋ねると、「中国の内モンゴルです」と返ってきた。「じゃあ下に降りてみます」言い終わるのと同時に持ってた荷物もわたしの足元に置いて、すたすたと離れていく。えっ危機感なさすぎませんか、わたしが大悪党だったらどうするのですか、iPhoneもカバンも全部持って逃走するかもしれませんよ!?!?とか一瞬考えつつ、下に降りた彼女にカメラを向ける。「OK?」「OKOK!!」ピコン。iPhoneで動画を撮影。雪原の上を彼女がダンスするようにくるくる回る。おー素敵。わたしも興が乗ってきて「もう1回!もう1回!」とテイク2も撮った。

息を切らして戻ってきた彼女に、動画を確認してもらう。写真も動画も満足してくれたようだった。日本語上手ですね、と問いかけると昔日本に留学していたとのこと。今回は東京マラソンを走るために日本に来たので、ついでにはじめて北海道に来てみたという。小樽行きの電車に乗ってたけど、景色が良さそうだったので降りてみた、あまりにきれいで感動した、降りて良かった、と言っていた。わたしとおんなじように思っていたことがなんだかじんわりと嬉しかった。

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良い出会いだった。彼女にとっても良い思い出になってたらいい。