額面通り

音楽と生活の記録

モラトリアムが終わるなら

テレビをつけていれば目にする機会があった彼らを「ちゃんと見る」ようになったきっかけは2014年5月にリリースされた「GUTS!」という楽曲だった。 

GUTS !(通常盤)

GUTS !(通常盤)

 

何気なく見てたMステ。私立高校のブレザーのようなお揃いの制服を着た5人が「GUTS!」を歌い踊る姿を見たときに、「ん?」と思った。なんなんだ、これは。ずいぶん学生さんっぽい感じなんだね?彼らいくつ?若いイメージはあるけど…そんな思いで興味本位でwikiを見たら全員すでに30歳を超えている。それを知ってますます驚いた。「えっ30歳過ぎてお揃いのブレザー着て?あんなヘンテコなダンス?www」そう思った。こんなことやらされて、アイドルって大変だなーと思っていた。それまでアイドルというものに興味を持ったことすらなかったから。

次の日。30代の5人が制服で歌い踊る姿がやっぱり気になって、某所で動画を探して、もう一度GUTS!を見た。もう一度、もう一度。もう一度。笑顔の5人。お揃いの制服で踊る5人。サビは全員で応援団のように手を振り、間奏ではサザエさんのエンディングみたいな動き。VIVA青春胸を張れ。歌う5人。笑顔の5人。お揃いの制服を着た5人。何度も見る。何度も見る。何度何度も、何度も見ていて、ハタと気がついた。

もしかしたら、この5人は、確信犯なのでは、と。

興味本位で調べてるうちにすっかり嵐にハマっていった。ミイラ取りがミイラになる。まさにそんな感じだったと思う。GUTS!の時くらいしか学生服っぽい衣装は着てはいなかったけど、バラエティー番組で見る5人は常に仲が良さそうで幼なじみみたいなノリで、がっつりハマる頃にはむしろ、その”永遠の男子高校生感(私立の)”が好きだなあと思うようになっていた。仲がよさそうに見せるのが上手な嵐。楽しそうに見せるのが上手な嵐。学生服を着て、それっぽく笑顔で演じてしまう嵐。ともするとビジネス上手な雰囲気も出てしまう彼らのことがとても好きだと思っていた。

好きになって3ヶ月でファンクラブに入り、12月にははじめてコンサートにも行った。チケットが取れない、そう言われてる嵐だけど北海道在住だったことがラッキーだったのかもしれない。好きになって半年で、コンサートに入ることができた。はじめての札幌ドーム。ドームクラスのコンサートといえば、ローリングストーンズしか行ったことのないわたしが、嵐!アイドルのコンサート!ウケる!!2014年当時はそういう気持ちも少しあった。事実この時のコンサートは1人で行った。(周りには嵐を好きな人はいなかった)

2014年の嵐のアルバムは「THE DIGITALIAN」 

Digitalian

Digitalian

 

 15周年の記念イヤーだったが、オリジナルアルバムを出す。2014年の彼らが選んだ道だった。それまでの嵐の歴史を、ファン歴半年の身ではまだ全てを追えてはいなかったけど、初めてコンサートに入って、「やっぱり彼らは確信犯だ」という思いはますます強くなった。だってなによりコンサートがすごい。ものすごい。演目として、エンターテインメントとして、すごい。単純に”すごい”という言葉がいちばんあっている気がするから”すごい”と書くが、”アイドルのコンサート”として、こんなにすごいものを見るなんて思ってもいなかった。エンターテインメントであることの覚悟。エンターテインメントとしての哲学。松本潤が主となってコンサートを作っていると知ってとても驚いたことを覚えている。

嵐はとにかく役割分担がきっちりしている。5人いて5人ともブレなくきっちりとキャラクターが立っている。売れたからそうなったのか、役割を意識的に考えたから売れたのか。どちらが先かはわからない。わからないけど、ご本人たちが「売れなかった時期にたくさん話し合った」と幾度となく話すから、後者であるだろうなと思っている。だって彼らは確信犯だし、なによりとても頭がいい。彼らがとてもクレバーだということは、嵐の歴史を追いながらいちばん思っていたことだった。”楽しそう”なんて当たり前、”すごい”を目指すのは当たり前。

2015年になり、友達ができた。ブログやTwitterを通して、嵐のことを話せる友達がたくさんできた。そこからはもう、どっぷり嵐。文字通り。2015年2016年2017年2018年、札幌でのコンサートは必ず入った。”嵐に会いたい”そんな乙女な気持ちももちろんあったが、”嵐の作るコンサートが見たい”これが自分にとってはいちばん大きかった。その年の、その時代の、嵐が作るコンサートが見たい。だって嵐のコンサートはすごいから。

毎年毎年、変わらず嵐を追いながら、この”変わらない”はいつまで続くんだろう。そう思うことは幾度となくあった。メンバーが年齢を重ねるたびに、熱愛報道が出るたびに。いつか何かは変わるだろうと、たぶんずっと意識していた。そして”その日”は永遠に来ないで欲しいと、願う自分にももちろん気がついていた。 この”変わらない”はいつまで続くんだろう。わたしが思う以上に嵐の5人が考えていたとしたって、なんの不思議もない。

永遠に終わらない文化祭の前の日。

幸せそうなラムちゃんは自分の姿と重なった。「いつまでもこのままがいい」と願う思いを叶えてくれる夢邪鬼は、ジャニーズ事務所なのかもなと思った。そして、いつか、いつの日か。諸星あたるのように、嵐さんが「この夢から脱出したい」そう思うのではと、怯えていた。

嵐 2020年12月31日をもって活動を休止。

とうとうこの日が来たと思った。そう思ったのと同時に、瞬時に。夢の終わりが誰かの”結婚”じゃなかったことに、安堵する自分がいた。”解散”じゃなくて良かったと安堵する自分がいた。大野智が嵐から離れたいと思ったことが発端になったこと。5年近く、嵐を見てきた自分には、なんにも不思議なことはなかった。なんにも不自然なことはなかった。

あと2年近くあるのに、どうして今のタイミングで発表するんだろう。ずっとずっとそう思っていた。終わりがくるとわかってて、2年の期間を楽しめるのか、日曜月曜はそう思っていたたけど「ビューティフルドリーマー」を思い出して気がついた。

嵐は”文化祭”をやるつもりなんじゃないかと。

どうせ最後の日があるなら、それまで楽しいお祭りをしよう。どでかい花火をぶち上げよう。とびっきりの文化祭。最後にでっかくやろうぜ!みんなで楽しい思い出作ろうぜ!!そういうことなのでは、と思っている。会見からずっと笑顔でいる嵐に、「最後まで笑っていよう」と言った言葉に、ますますそう思っている。

”変わらない”の終わり。

それが誰かの結婚でもなく解散でもなく、でっかい文化祭なんて最高じゃないか。いつか終わる、ではなく、終わらせる。いったん”終わり”を設定して、それまでみんなで思いっきり楽しくやる。嵐はそう決断したんだと思った。

会見からの1週間。月曜ZEROの翔くんに始まり、28日発売の女性誌「MORE」連載最終回でニノが”終わり”についての言葉を語り、松本潤は毎月30日更新の有料サイト内で決意の言葉を乗せた。VS嵐冒頭で、きっちりと自分たちの言葉でファンに語り掛けた。今日のMステ生放送でも、明日の嵐にしやがれでも、本人発信のフォローがあるだろう。とにかく”自分たちの言葉で伝える”を徹底的にやっている1週間。これを用意周到と言わずに何と言う。これこそが、わたしの大好きな嵐。”確信犯”の嵐。

復活したってしなくたって、どっちだっていいと、わたしは思ってる。とにかくこの、類を見ない珍しいかたちの活動休止劇が、嵐らしいクレバーさに溢れててとてもとても感動している。2020年12月31日まで、毎日文化祭に参加してる気持ちで楽しむよ。ありがとう嵐。大好きです嵐。今日も明日も大好きです。2021年もきっと大好きです。

嵐活動休止発表に寄せて。

2014年、嵐が全員30代になってから彼らのファンになり、約5年に渡って嵐を見てきたアラフォーの自分の現在の思いの記録です。